アキバのつぶやき
2026.01.30
不動産経営に潜む「逸脱の正常化」という静かなリスク
不動産業は、法律と実務のあいだに成立している産業です。宅建業法、借地借家法、各種条例。ルールは細かく、しかも一見すると分かりにくい。
その一方で、現場ではスピードや柔軟な対応が求められます。この構造こそが、「逸脱の正常化」を生みやすい土壌だと思います。たとえば、重要事項説明が形式的になっていないでしょうか。契約書の条文を「いつも通り」で流していないでしょうか。
本来は確認すべき説明や手続きを、「この案件では大丈夫だろう」という判断で省略していないでしょうか。最初は例外のつもりでも、問題が起きなければ、それは次第に「普通のやり方」になります。
不動産業の怖さは、こうした逸脱がすぐには表面化しない点にあります。契約は成立し、取引は完了し、売上も立つ。だから疑われない。しかし、トラブルが起きたとき、過去の「普通」は一気にリスクに変わります。
説明不足、記録の欠如、判断の曖昧さ。その多くは、悪意ではなく、合理性や慣れの結果です。ここで重要なのは、現場を責めることではありません。むしろ、守れないルールを放置してきた組織や業界の構造そのものが問われるべきでしょう。
ルールと実態が乖離すれば、人は実態のほうに従います。不動産業の信頼は、「大きな成功」ではなく、「小さな逸脱を放置しない姿勢」によって支えられています。
経営とは、売上を伸ばすこと以上に、「普通」の基準を意識的に維持し続ける行為なのだと思います。
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