アキバのつぶやき
2026.01.23
失敗をどう扱うか?
昨日は、久しぶりに含蓄のあるお言葉を頂戴でき、貴重な時間を体験することが出来ました。現役時代は、大企業の要職につかれ、偉大なるカリスマ経営者から直々に、仕事の進め方、人生の生き方を教えてくださったとの事。このお客様との対談によって、私が求めている方向性が正しいという勇気を頂きました。感謝しかございません。
そんな中、不動産営業の世界にいると、「失敗をどう乗り越えるか」という問いに、何度も向き合うことになります。契約直前での白紙解約、金融機関の否決、重要事項説明後のキャンセル、価格交渉の決裂。他社での媒介契約。どれも現場では日常茶飯事です。
ただ、この問い自体が、少し構造的にズレているように思います。失敗は「乗り越える対象」ではなく、「前提条件」だからです。不動産取引は、複雑な利害関係と不確実性の集合体です。売主、買主、金融機関、法規制、市場環境、感情、家族関係。すべてが絡み合う中で、失敗ゼロを前提にした営業設計そのものが非現実的です。
むしろ、失敗しない営業プロセスのほうが危険です。学習が止まるからです。重要なのは、失敗を感情処理しないことです。「自分の説明力が足りなかった」「営業力が弱いからだ」と人格評価に変換した瞬間、失敗は学習素材ではなくなります。ただの自己否定データになってしまいます。
必要なのは、構造化です。
・なぜこの取引は止まったのか
・情報の非対称性はどこにあったのか
・判断のボトルネックは誰にあったのか
・プロセス設計のどこに歪みがあったのか
これを冷静に分解することが、次の受注率を上げる唯一の方法です。不動産営業の本質は、「説得」ではなく「設計」です。顧客の感情、金融条件、法的制約、時間軸を含めた意思決定構造をどう設計するか。ここが甘いと、どれだけ説明がうまくても、どこかで取引は崩れます。
そして実は、最も危険なのは「成功体験」です。一度うまくいった型は、再現性があると錯覚しやすい。しかし市場も顧客も条件も毎回違います。成功体験は思考停止を生み、失敗は思考を生みます。
戦略的に価値が高いのは、明らかに後者です。だから、失敗を乗り越えようとしなくていいのです。失敗は排除するものではなく、営業プロセスを進化させるためのデータです。
感情から切り離し、構造として分析し、次の設計に反映させる。それだけで十分です。不動産営業とは、成果を積み上げる仕事であると同時に、失敗の処理能力を積み上げる仕事でもあります。失敗を減らす人が強いのではなく、失敗を「学習変換」できる人が、長く現場に残るのです。
今日も、「アキバのつぶやき」に来てくださって、ありがとうございます。