アキバのつぶやき
2025.06.22
これからの代行サービスについて
「代行」という言葉を聞いて、何を思い浮かべますか?お酒を飲んだ夜、安全に自宅まで帰り着くために利用する「運転代行サービス」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。疲れていたり、飲酒していたりする際に、自分の代わりに車を運転して自宅まで送り届けてくれる運転代行は、私たちの日々の暮らしの中で、安心と便利さを提供してくれるサービスです。私は利用したことはございませんが、自分では運転できない状況にある時に、専門のドライバーがその役割を担ってくれることで、飲酒運転防止や交通事故の減少にも貢献していると言えます。
しかし、近年、もう一つ「代行」という言葉で社会の注目を集めているサービスがございます。それは「退職代行サービス」です。
「辞めたいけど、言えない…」を解決する代行サービスです。
日本の労働市場と社会において、退職代行サービスが急速に普及している背景には、運転代行サービスと同じように「自分で直接行うことが難しい、または望ましくない」という個人のニーズが深く関わっているとの見方がございます。昭和時代のサラリーマンには、ちょっと理解できず、はじめて耳にしたときに、「なにそれ!」って感じでした。
すごいスピードで普及した要因は次だといわれています。
1. 利用の手軽さとアクセシビリティです。つまり、サービスの利用しやすさです。「やめるもん」という退職代行サービスでは、依頼の約8割がLINE経由で行われており、非常に気軽に利用できる点が特徴です。正社員の場合の代行費用は19,800円と、手の届きやすい価格設定であることも普及を後押ししています。 さらに、「会社退職」や「辞めたい」といったキーワードで検索するだけで、多くの退職代行会社が見つかるため、サービスがより身近な存在になっています。電話一本で若者が職場を去ることが可能という手軽さも、利用を促す大きな要因となっています。
2. 直接退職を伝えられない職場環境と個人の心理的抵抗 多くの利用者が退職代行を選ぶ背景には、直接会社に退職の意思を伝えにくい、あるいは伝えても受け入れられないという状況があります。
•退職代行サービスを利用した20代の男性は、退職の意思を伝えた後も出勤することに抵抗を感じていました。
•「このまま結局辞めても苦労するぞ」といった引き止めに遭ったり、退職が受理されそうにない雰囲気を感じたりして、その場で「辞めたい」と言えなかったという声もあります。
•「やめるもん」の橋本貴弘代表は、社員が自分で会社に対して思ったことが言えない状況にある会社が多いことを実感として述べています。
•「ある程度の形で『きれいに辞めたい』」という願望も、退職代行サービスを探す動機となっています。
3. 職場における具体的な問題 具体的な職場の問題も、退職代行の利用につながっています。
•例えば、30代の女性が妊活中で体調的に苦しいという理由で退職代行を依頼したケース。
•30代の男性は、社長からのパワハラ(「あほ、バカ扱いされる」など)が悩みの原因でした。
•勤務歴の短い若手社員も、会社との直接的な交渉を避けるために代行サービスを利用する傾向が見られます。
4. 企業側の価値観の変化と認知度向上 退職代行の電話を受けた企業側も、突然の連絡に戸惑いつつも、自社にも問題があったのではないかと反省し、社内改革を進めるきっかけとなるケースも報告されています。一部の企業の人事担当者は、退職代行に対してすでに高い認知度を持っており、本人が辞めるかもしれないことをあらかじめ把握していた可能性も指摘されています。
運転代行も退職代行も、一見すると全く異なるサービスですが、その根底には「個人が自分自身では対処しにくい、あるいは避けたい状況を、専門家や第三者が代わって解決する」という共通の価値観があります。
私たちは日々様々な選択を迫られ、時に困難な状況に直面します。そんな時、個人の負担を軽減し、よりスムーズに問題が解決できるようサポートする「代行」サービスは、現代社会においてますますその必要性を増していると言えるでしょう。便利さ、安心感、そして時に避けて通れない衝突を回避するための手段として、「代行」の形は今後も多様化していくのでしょうが、人生には代行してもらうことが出来ない困難なことがございます。
病気がその代表です。病になったときにそれを直すのは、何よりも心の力と私は思っております。代行サービスが当たり前のように蔓延る社会になるという事は、人の心の力をより一層弱体化させる原因になるのではないかと、危惧してなりません。
「天は自ら助くる者を助く」!他人の力に頼ってばかりでは、自分らしい人生は築けないのではないでしょうか?