アキバのつぶやき

2025.06.09

コメ取引と不動産取引の雑感

 備蓄米を放出しているにもかかわらず、コメの価格が高止まりしていたなか、この度小泉農水相の断行により備蓄米の価格が手頃な価格に下がりました。では、なぜ価格が高止まりしていたのかという、その大きな要因は何だったのでしょう?

 農林水産省が注目しているのが、「スポット価格」の動向です。このスポット価格とは、全国農業協同組合連合会(JA全農)などの大手集荷業者を介さず、JA以外の業者が農家から直接コメを買い取るなどして取引される価格のこと。今年1月から4月の時点で、このスポット価格がJA経由の販売ルートの約2倍の高値で取引されていることが判明しました。

 具体的に見てみましょう。
 JAなどが農家から玄米60キロを仕入れる価格が約2万円(5キロ換算1667円程度)であるのに対し、業者間の現物取引であるスポット価格はなんと4万5000円から5万円程度(5キロ換算で3750円から4167円程度)に跳ね上がっています。これらは昨年産米と比べ5〜6割も上昇しています。
 では、なぜこのような高値になっているのでしょうか?昨年夏のコメの品薄感がきっかけとなり、小売店に並ぶコメの量が減少。この供給不足感から、各事業者がコメの調達に奔走し、競争が激化した結果だとされています。
 JAなどからの供給自体が減ったことも大きく影響し、中にはコメの調達量が前年比で8割も減った業者もいたとのこと。そうした業者は、何としてでも現物を確保しようと高値での購入に踏み切ったわけです。結果として、この高値で取引されたコメの多くがスーパーなどの店頭に並び、私たち消費者は「5キロ4500円から5000円ほどのコメ価格」を目にすることになっているのです。
それでは、不動産取引ではどうなのでしょうか?
 一般的に購入者が個人か業者かによって、取引価格は大きく違ってきます。不動産取引では、コメの生産者にあたるのが、売却を考えている売主様です。供給が少なく購入者希望者が多く存在する立地の物件であれば、必然と高値で売却できる可能性は高くなります。という事は、不動産業者を買主とすると、売却価格は数百万円の差が出てくることになりかねます。
 
 そこで、売主様としては、売却する不動産が、どのような需要と供給の関係にあるのかを、最初に把握することが大事となります。
これがなかなか一般の方には把握しずらいし、面倒な作業です。ネット社会になり、情報が得やすくなり、一般の個人でも分析や判断ができやすくなりましたが、不動産物件というのは、法規制や様々な絡みが存在します。ですので、最終的には業者の意見にゆだねざるおえないところは否めないでしょう。
 そういう中で私は、一括査定サイトなどで査定依頼をする前に、しっかりと自身の不動産の特性をつかむことが重要だと、お伝えしたいです。それと、価格を安易に下げて売却する原因は、時間の問題と心理的負担があると考えております。
 何かの事情によって早期に現金化しなければならなくなった、また売却後の契約不適合責任を負いたくない、といった負い目から、業者への売却へ進んでしまうケースが多いのではないでしょうか。

 大切な不動産という資産の売却です。備蓄米のように買い戻しはできません。今は売却する考えはなくても、予期せぬ出来事で売却を強いられることが起こるかもしれません。また、交渉によっては契約不適合責任免責という条件での売却も可能です。ですので、遊休の不動産を持っておられる方は、しっかりと準備をしておくことをお勧めします。

 農林水産省は価格下落を促すため、備蓄米を小売業者に直接届ける新たな入札制度の導入を進める考えです。不動産業者は、逆に中抜きする業者に流通することを優先するのではなく、個人の売主様及び買主様双方が良しとする取引を第一として、日々の業務に取り組んでいくことで、業界の信頼と発展に貢献できるのではないだろうか。

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