アキバのつぶやき
2026.02.08
不動産価格の暴落が教えてくれる戦略の正体
金相場はここ数日、大暴落を続けています。一方で不動産価格は、しばしば「下がりにくい資産」と語られます。土地は有限であり、人口は都市に集中し、建築コストは上昇する。したがって、不動産は長期的に値下がりしない。
この物語は、不動産業界において半ば常識のように共有されています。しかし、相場はいつも、この「常識」を裏切る形で動きます。ある日突然、取引が止まり、価格が下落し、買い手が消える。その瞬間、多くの人がこう言います。
「想定外だった」と。でも、経営学者に言わせると、想定外なのではありません。想定していなかっただけですと。
不動産価格が上昇している局面では、人々の関心は「価値」ではなく「物語」に向かいます。
再開発、インバウンド、金利の低位安定、人口流入。これらの要因が一つのストーリーとして語られ、不動産は「買っておけば間違いない資産」に変換されます。しかし、価格を支えているのは、土地そのものの価値ではありません。価格を支えているのは、「これからも上がる」という期待です。
期待がある限り、取引は成立します。期待が剥落した瞬間、価格は意味を失います。例えば、金利がわずかに上昇しただけで、住宅ローンの負担感は急激に変わります。金融機関の審査基準が少し厳しくなっただけで、買い手は消える。人口動態が変わったわけでも、土地が消えたわけでもありません。それでも市場は冷え込む。
つまり、不動産市場が崩れるとき、壊れているのは「価値」ではなく「前提条件」です。ビジネスにおいても同じ構造があります。上手くいっている事業ほど、「前提」を疑わなくなる。売れている商品ほど、「なぜ売れているか」を考えなくなる。不動産価格の調整局面は、単なる景気循環ではありません。
「成功体験がどれほど脆いか」を可視化する装置です。不動産とは、本来、長期の資産です。にもかかわらず、人々は短期の物語で判断する。このギャップこそが、相場の変動を生む本質です。
結論は単純です。不動産市場で本当に怖いのは、暴落ではありません。怖いのは、上昇が続いているときに、誰も疑問を持たなくなることです。相場が静かなときほど、戦略は試されている。
不動産市場とは、価格の市場であると同時に、「思考の市場」なのです。
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