アキバのつぶやき

2025.12.21

口は禍の元だけですませてはいけない!

「核を持つべきだ」という発言は、あまりに強い言葉なので、つい是非論に引きずられます。しかし、戦略論として重要なのは賛成か反対かではなく、「なぜその言葉が出てきたのか」を考えることが、大切です。 

 核武装論は、究極の手段を語っているようで、実は“手詰まり感”の表明でもあります。通常戦力、同盟関係、外交努力、それらが十分に機能しているという実感があれば、核という選択肢はそもそも俎上に載りにくい。核の話題が出るということ自体、既存の安全保障のストーリーが説得力を失っている兆候なのだと思うのです。

 戦略とは、選択肢を増やすことではなく、選ばなくて済む状況をつくることでもあるのです。核は選択肢の中で最も重く、最も取り返しのつかないカードです。それを「持つか持たないか」で議論している時点で、戦略の議論としてはかなり拙いとしか言えません。

 本当に問うべきなのは、「日本はどのような前提条件のもとで安全を設計してきたのか」、そして「その前提は今も有効なのか」という一点です。核を語ること自体が目的化した瞬間、戦略は感情論に変わります。強い言葉ほど、思考停止を誘います。

 だからこそ、こういう発言に接したときほど、いちばん静かな問いを立てる必要があると思うのです。

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