アキバのつぶやき

2025.12.20

毎年の定番!

 クリスマスが近づくと、テレビの編成表が、そっと同じ顔を見せてくる。

 ああ、今年も来たな、と思う。その顔はだいたい『ホーム・アローン』だ。
この映画は、観るための映画というより、「確認するための映画」なのかもしれない。ケビンがひとりで家に残されて、あの音楽が流れると、「あ、今はもう年末だ」と身体のほうが先に理解する。頭で考える前に、季節が合図を出してくる感じ。

 子どものころは、いたずらの痛快さだけを観ていた。ペンキ缶がぶつかって、泥棒がひっくり返る。そのたびに、笑った。でも大人になって観ると、笑いの背景がちょっと違って見える。
 
 あれだけ大人数で移動して、ひとり足りないことに気づかない。これはコメディだけど、集団というものの、案外あてにならなさも描いている。それでも、この映画はやさしい。
 
 最後には、ちゃんと家族が戻ってくる。家は壊れかけても、関係は壊れない。そこが、毎年繰り返しても耐えられる理由なんだと思う。毎年同じ映画が流れるというのは、変わらないようでいて、実は少しずつ意味が変わっている。観ているこちらが変わるからだ。だから『ホーム・アローン』は、毎年「初見」でもあり、「再会」でもある。
 
 クリスマスは特別なことをしなくてもやってくる。でも、こういう決まりごとがあると、人はちゃんと立ち止まれる。今年もここまで来たね、と自分に言える。ケビンは今年も一人で家を守る。そして私たちは、それを横目に見ながら、静かに一年をたたむ準備をする。

 たぶん、それでいい。

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