アキバのつぶやき
2025.11.13
早期退職に見る年齢の壁
大手製造業で50代の早期退職者募集が相次いでいるニュースを見ました。定年を待たずに新たな道を選ぶ人が増える中で、よく聞かれるのが「年齢の壁はあるのか」という問いです。これは転職市場だけでなく、人生のリセットを考える上でも重要なテーマではないでしょうか。
尊敬する楠木建さんなら、「年齢の壁は“事実”としては存在する。しかし“意味”としては存在しない」、というのではないか。制度的にも市場的にも、年齢という数字が影響を持つのは確かです。けれど、それを単なる障害と捉えるか、物語の一部として再定義できるかで、見える景色はまったく違ってくるのです。
50代の転職で問われるのは、「これから何ができるか」ではなく、「これまで何を考え、どう選択してきたか」という経験の“解釈力”です。よく、揶揄されるのが、「かつて○○企業で部長をやっていました。」というのがありますす。
若い人が持つ柔軟性に対し、ミドル世代が持つのは文脈力と関係資産です。企業にとっても、いま必要なのはマニュアル通りの即戦力より、状況を読み解き、人を動かせる人間の厚みです。
結局のところ、年齢の壁とは「自身の人生を物語れないこと」です。自分の仕事の意味を言葉にできないと、どんなに実績があっても価値が伝わりません。言語化力がとわれるのです。逆に、歩んできた道のりを自分の言葉で語れる人は、年齢がそのままブランドになります。 楠木さんならきっとこう締めくくるでしょう。
「転職で問われるのは年齢ではなく、物語の一貫性だ」。