アキバのつぶやき
2025.11.08
午前三時
政治家が「午前3時から仕事をしている」と聞くと、多くの人はまず「すごい」と思います。真夜中の静けさを破って、国の舵取りにあたる姿には、努力と使命感の匂いがします。ですが、ここで立ち止まって考えたいのは「努力の量」ではなく「仕組みの質」です。
経営でも政治でも、重要なのは「どれだけ早く働くか」ではございません。「どんな意思決定の構造をつくっているか」です。午前3時という極端な時間設定は、本人の体力と意志の強さを示すシグナルではあります。でも、システムとしてそれが持続可能なのか、他の人が同じ環境で成果を再現できるのか、という観点が抜け落ちてしまいがちです。また、同時にそれに付随する関係者の存在というものがございます。
「やる気」は個人のエネルギーであり、一時的なブーストです。しかし、「仕組み」は再現性を担保します。前者が短距離走なら、後者はマラソンです。政治も企業経営も、長期戦である以上、個人の頑張りを前提としたシステム設計は危うい状態と思います。むしろ「午前3時でも回る仕組み」ではなく、「午前3時に起きなくても回る仕組み」をどう作るかが本質ではないでしょうか。
それでもなお、高市首相の早朝勤務が象徴しているのは、リーダーの「時間感覚」だと思います。夜明け前の静寂に思考を研ぎ澄まし、日中には見えにくい全体像を描こうとしている。その「先を見通そうとする姿勢」こそが、政治リーダーとしての一貫性を支えているのかもしれません。
「頑張る」だけではなく「仕組む」。それが、真に持続可能な働き方の本質だと思うのです。