アキバのつぶやき
2025年11月
2025.11.02
多様性の寛容その1
「多様性の受容こそが成功の基」と聞くと、多くの人は“寛容”や“共生”といった穏やかな言葉を思い浮かべるかもしれません。しかし、実際にはそれは“厳しさ”を伴う行為でもあります。
多様性を受け入れるとは、自分の価値観をいったん脇に置き、他者の視点を自分の中に取り込むことです。
これは簡単なことではありません。自分の正しさにこだわるほど、異なる考え方は不快に感じてしまうものです。だからこそ、多様性の受容には「自分を相対化する勇気」が求められます。
組織の現場では、この“異質さ”がしばしば摩擦を生みます。
同じ目標を掲げていても、アプローチの違いから衝突が起こることもあるでしょう。しかし、摩擦を避けて同質性を優先すると、組織は一見まとまりが良くても、やがて硬直してしまいます。
多様性を受け入れる組織は、短期的には不安定ですが、その中から生まれる化学反応が新しい価値を生み出していきます。
成功の基とは、まさにこの「創造的な不安定さ」に耐え、活かす力のことだと思います。
不動産の現場でも同じです。家族のあり方や働き方が多様化する中で、顧客の価値観も本当にさまざまです。「良い家とは何か」という問いに、かつてのような共通解はありません。
営業マンが自分の経験や常識だけで判断してしまえば、顧客の本当の願いを見誤ります。相手の価値観を尊重し、丁寧に耳を傾けること。
そこから信頼が生まれ、結果として成果につながっていくのです。
つまり、「多様性を受け入れる姿勢」こそが、不動産営業の成功を支える基盤なのです。結局のところ、多様性の受容は「優しさ」ではなく「成熟」だと感じます。異なる価値を認めながらも、自分の立ち位置を見失わないこと。このバランスを保てる人や組織こそが、変化の時代にしなやかに成長していくのだと思います。
成功とは、誰かに勝つことではなく、違いと共に歩みながら自らを高めていく力なのです。
2025.11.01
人間関係について
26年ぶりに逮捕された犯人が、被害者の夫の同級生だったというニュース。 この出来事を耳にして、私たちはまず「なぜそんなことが起こるのか」と驚く。しかし、少し視点を引いてみると、そこには「人間関係と信頼の構造」という、より普遍的なテーマが浮かび上がってきます。
人間関係は、多くの場合「近さ」と「安心感」でできています。ですが、この近さこそが、時に最大の盲点になります。信頼は本来、リスクを前提に成り立つものです。完全に安全な関係など存在しません。むしろ「信頼している」という言葉の裏には、「裏切られるかもしれないけれど、それでも任せる」という覚悟があります。
殺人事件のような極端な事例でなくとも、職場や組織の中で似た構造を見かけます。長年の付き合いだから大丈夫、彼は同じ釜の飯を食った仲だから、という思い込みが、往々にして判断を鈍らせます。人間は、知っている相手ほど見ます。関係の深さが安心を生み、その安心が観察を曇らせるのです。
時間が経つほど、信頼は自然に深まるように思われがちですが、実際には「確認されない信頼」は、少しずつ劣化していく。26年という歳月の中で、被害者家族の時間は止まり、加害者の時間は進んでいきました。信頼の構造もまた、放置すれば風化する。
私たちにできるのは、時間を過信せず、関係を定期的に見直すことです。「昔から知っている」という理由ではなく、「今も見ている」「今も聞いている」という関わりの積み重ねこそが、本当の信頼を支えると思うのです。
時間は、癒しにも逃避にもなります。だからこそ、信頼を維持するには、意識的な“再接続”が必要なのではないでしょうか。
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