アキバのつぶやき
2025.10.23
新首相誕生と、「着眼大局 着手小局」
新しいリーダーの誕生には、いつの時代も「期待」と「不安」が入り混じります。今回、高市新首相の就任も例外ではありません。政策論や人事の是非といった短期的な話題はメディアが扱うでしょうが、経営や組織運営の観点から見れば、注目すべきは「リーダーとしての構え」にあります。
中国の故事に「着眼大局、着手小局」という言葉があります。大局を見据えて物事の本質を捉えながら、実際の行動は小さなところから積み上げていく。経営者にも政治家にも通じる、極めて本質的な考え方です。
国家運営における「大局」とは、たとえば人口減少・安全保障・技術革新といった長期的な変化の潮流です。これらを見誤ると、いくら小手先の政策を積み重ねても全体は崩れます。一方で、抽象的な理想ばかり語っても、現実の行政や地域の課題は動きません。つまり、リーダーには「遠くを見ながら、足元を整える」という二重の視点が求められるのです。
高市首相はこれまで、強い国家観と現実的な行政手腕を併せ持つ政治家として知られてきました。理想論に傾かず、具体論に逃げず。まさに「大局を見据え、小局に着手する」姿勢が問われる局面です。特に地方経済の再構築や、技術立国としての再定義といったテーマでは、国全体の方向性を描きながら、現場で動く中小企業や自治体に具体的な支援を落とし込むことが鍵になるでしょう。
この「着眼大局、着手小局」という考え方は、私たちビジネスの現場にもそのまま当てはまります。戦略を立てるとき、どうしても「短期の数字」や「手近な課題」に意識が行きがちです。しかし、リーダーに求められるのは、目先の成果よりも「方向性の正しさ」です。そして、方向が正しいなら、日々の小さな改善や試行錯誤が確実に積み上がっていきます。
政治における「国家の舵取り」も、企業における「事業の舵取り」も、求められる資質は意外なほど似ています。大局に目を凝らし、小局に手を動かす。この両輪が噛み合ったときに、組織も社会も前に進むのだと思います。
新しい日本国のリーダー誕生をきっかけに、私たち自身も「自社の大局とは何か」「今日、どの小局に着手するのか」を改めて見つめ直すときではないでしょうか。