アキバのつぶやき

2025.10.14

目標とフィードバックについて

 「目標を明確に持て」というのは、ビジネスの現場では,もはや常識になっています。ところが、その“常識”が逆に人を苦しめていることも多いのではないでしょうか。なぜなら、目標はあくまで「行動を方向づけるための仮説」にすぎず、現実のビジネスは常に仮説修正の連続だからです。


 多くの人が途中で挫折するのは、目標が間違っていたからではなく、目標を絶対視してしまったからです。たとえば「年間契約件数何件」と掲げるのはわかりやすいけれど、その数字が出てきた背景が、どんな顧客と、どんな関係を築いて、どんな価値を提供するか?というストーリーが抜け落ちています。

 数字はあくまで物語の「結果指標」であって、物語そのものではございません。そこで重要になるのが、「フィードバック」です。
フィードバックとは、目標の正否を測るための学習の回路です。目標を立てた時点では、誰も正解が分からない。また、正解は一つとは限りません。

 だから、行動→結果→修正というサイクルをどれだけ短く、正確に回せるかが成果の質を決めます。如何にして、PDCAを回し続けることが出来るかに尽きます。。つまり、成功とは目標の達成ではなく、仮説修正の精度を高めるプロセスなのです。
 
 ドラッカーの言葉に、「計画とは、未来に対する現在の意思決定である」とあります。すなわち、未来は変数だらけだということです。だから、最初に決めた目標を守り抜くことよりも、フィードバックを通じて目標そのものを進化させることのほうが、実務的にははるかに合理的です。


 結局のところ、ビジネスにおける「強さ」とは、最初から正しい目標を立てる力ではなく、質の良い仮説を立てる仮説力と、それを修正していく、継続力と洞察力の巧拙という事になるのです。

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