アキバのつぶやき

2025.09.27

世論調査について

 企業経営において「国語による世論調査」を考えますと、これは単なる教育や文化の話にとどまりません。むしろ経営そのものの核心に触れるテーマだといえます。なぜなら、企業を動かしているのは最終的に「言葉」だからです。

 会社の理念、ビジョン、スローガン。これらはすべて言葉で表現されます。売上や利益という数値目標はもちろん大切ですが、人が腹落ちして動くのは数字そのものではありません。「私たちは何のためにこの事業をしているのか」という問いに、納得感のある言葉で答えること。そして、物語を語ることです。ここに経営の本質が宿ります。
 
 国語による世論調査は、社会の言葉の選び方や意味の変化を映し出します。例えば「挑戦」という言葉ひとつをとっても、以前はリスクをとる勇敢さの象徴でしたが、いまでは自己成長や学びの姿勢を含む柔らかなニュアンスで使われます。企業がその変化をつかめているかどうかで、社員や顧客とのコミュニケーションの質は大きく変わります。
 
 顧客アンケートや市場調査では数字ばかりを追いがちですが、その裏にある言葉を丁寧に拾うことが重要です。たとえば「便利」という声ひとつでも、スピードなのか、分かりやすさなのか、安心感なのか、意味するところは人によって違います。言葉の解像度を上げる努力なしに、真の顧客理解はありえません。
 
 つまり経営における「国語の世論調査」とは、単なる言語の流行を知ることではなく、社会がどんな言葉に共鳴し、何を拒んでいるのかを掴むことに他なりません。その洞察が、組織のビジョン設計や商品開発の方向性を決定づけると思うのです。
 
 企業経営は数値で回すものではなく、言葉で動かすもの。言葉をどう扱うかが、成果を分ける最大の経営資源だといえるでしょう。
聖書にあるように、「はじめに言葉ありき」ですね。「気」なしに言葉を発することを、慎まなければいけないと、強く思うばかりです。

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