アキバのつぶやき

2025.07.27

時間の流れと変化

 夏の盛りになると、あたりに響き渡る「蝉時雨(せみしぐれ)」は、日本の夏の風物詩ですよね。俳句の季語として、よく使われます。ところが、今年はSNSなどで「セミの声が少ない」という書き込みが目立つそうです。東京都内や南関東でも、例年のような大合唱には遠いと感じる方が多いかもしれません。

 セミ研究の専門家である林正美・埼玉大学名誉教授によると、今年のセミの出足が鈍い原因として、梅雨の雨量が少なく地面が硬くなり、セミが羽化しにくいことが考えられるそうです。また、今年は6月から暑かったため、「なぜセミが鳴かないのだろう」と、本来セミが多く鳴く7月中旬より前に「セミの声が少ない」と錯覚した人も多い、という側面もあるようです。

 セミの生態系も変化しています。日本には36種のセミが生息しているようですが、そのうち2種は外来種で、中国原産の大型ゼミ「タケオオツクツク」のように一部地域で定着した新顔もいるそうです。さらに、西日本でおなじみの在来種「クマゼミ」の分布域は広がり、ほぼ関東全域の低地に及んでいるとのこと。身近なセミも、少しずつ生息状況が変化しているのですね。

 この「変化」というテーマは、私たちを包む「時間」にも関連してきます。サンテグジュペリの名作『星の王子さま』に出てくる星では、自転速度が増して昼と夜が30秒ごとに繰り返されるという話がありますが、実は地球の自転速度は、歴史的に見ると「だんだん遅くなってきた」と言われています。
 

 地球が誕生したばかりの頃は、1回転に5時間ほどだったのが、恐竜のいた中生代には約22時間と、潮の干満などにより少しずつブレーキがかかってきたそうです。

 夏のセミの鳴き声の移ろいや、はるかな地球の自転速度の変化を考えると、時間や自然は常に動き続けていることを感じます。私たちの日常も、そして地球そのものも、絶えず変化し続けているのですね。

 昨日よりも、今日を楽しく。日々新に、こころも新たに!じっと心を沈めて自分を見つめ、私も変化していきたいものです。

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